内服薬での肝斑治療
以前は多くの方に単なる「しみ」として認識されていた「肝斑」ですが、しみの中でも肝斑は独特の特徴を持つものであることが、徐々に私たちの中でも知られるようになってきています。内服薬を用いた治療についても、テレビコマーシャルなどを通じて少しずつ知識が広まりつつありますね。
今回はそんな肝斑の治療について解説します。
手軽な治療法? 肝斑を治すための「内服薬」について
目次
肝斑の特徴および原因とは
肝斑は、一般的な不規則に現れるしみとは異なり、鼻を中心として顔に左右対称に現れることが知られています。その他の特徴として、
- ・頬の高い部分に目立つことが多い
- ・ポツンとできるのではなく、ある程度広範囲に広がることが多い
- ・ぼやけたようなアウトラインで、辺縁がそれほど明瞭なものではない
- ・目の外側には多いが、それ以外の目の周囲には出来にくい
など、ほかのしみとは異なる特徴であるかと思います。
「肝斑」ができる原因としては、ほかのしみ同様紫外線の影響はもちろん否定できませんが、女性ホルモンが関係しているのではないかといわれています。根拠としては、
- ・30代~40代の女性に多い
- ・妊娠や女性ホルモンの薬を服用・中止、閉経をきっかけに肝斑に変化がある
ことなどがあげられます。
肝斑にはどんな治療方法があるの?
肝斑は比較的治りにくいしみといわれています。ただ、顔の中心に近い部位にでき、目立ちやすいことや比較的広範囲に出来ることもあって、カバーがポイントでは難しいため、様々な治療が開発され行われています。
一例としては、
- ・内服薬
- ・皮膚に塗るタイプの外用薬
- ・レーザーを用いたレーザートーニング
- ・ピーリング
- ・イオン導入
などです。
内服薬による治療にはどんな薬がある?
・トラネキサム酸
肝斑の改善効果が認められていて、市販のお薬の成分としても比較的有名です。
効果としては、メラニン色素を作るメラノサイトという細胞が活発に働くのを防ぐ働きがあります。このことにより、薄茶色のメラニンが皮膚に沈着するのを予防することが出来ます。市販薬でも摂取できますが、病院ではより薬効成分の量の多いものが処方されています。
・ビタミンC
メラニンが作られるのを防いだり、アンチエイジングのカギとして注目されている活性酸素を身体から取り除く作用などがあり、肝斑の予防・改善にもマルチに働きます。
・レチノイン酸(トレチノイン)
ビタミンAの誘導体であり、非常に活性の高いビタミンAと考えてください。ただ、こちらは、催奇形性の問題により妊婦さんには使うことが出来ず、また日本でもごく一部、輸入したレチノイン酸の内服薬が使われているという話を聞くことはありますが、レチノイン酸に関しては外用薬のほうが一般的といえます。
まとめ

色々な治療法がある肝斑ですが、内服薬と外用薬を組み合わせて相乗効果を狙って治療が行われることが多いようです。
また、より即効性の高いピーリングやレーザートーニングなども人気があるようですね。レーザーに関しては、一般のしみ治療用のレーザーは肝斑をかえって濃くしてしまうので禁忌とされてきましたが、最近では肝斑にも問題なく使用でき、効果的なレーザーが開発されて安全に治療が行えるようにもなっています。
ただ、肝斑の治療は基本的に保険適応外になるため費用がある程度かかりますから、まず金額を確認したうえで、手軽な内服薬と外用薬の併用から開始することも選択肢の一つとして持っておくのも良いでしょう。
この記事の監修医師

- 院長
- オラクル美容皮膚科 院長 古市 雅子
- 経歴
- 2004年3月 東海大学 医学部 卒業
2006年3月 東海大学医学部附属病院 臨床研修 終了
2006年4月 東海大学医学部附属病院 麻酔科医勤務(標榜医取得)
その後、美容皮膚科にて院長などを歴任
2017年4月 オラクル美容皮膚科 東京新宿院 院長を務める - 所属学会
- 日本抗加齢医学会
日本美容皮膚科学会
医師紹介はこちら