外服薬での肝斑治療

手軽に治療が可能？ 肝斑の外服薬について

肝斑の外用薬ってどんなメリットがあるの？

まず、肝斑の治療の主流になっているものとして、口から服用する「内服薬」、それから最近注目されている肝斑に効果のある刺激の少ないレーザーを用いた「レーザートーニング」という治療、そして今回取り上げる「外用薬」が挙げられます。特に、内服薬と外用薬の組み合わせは、比較的手軽で、費用面でも負担が少ないことから最も品用されている治療法の一つではないかと思います。

外用薬のメリットは、外から見える肝斑に対して、的を外さずにそこだけ投与できるという点です。これは、内臓の病気などと異なり、必要なところに必要な分を確実にいきわたらせることのできるありがたい点ですね。

肝斑の外用薬に含まれる成分にはどんなものがあるの？

肝斑の外用薬に含まれる成分のうち、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
まず、「トラネキサム酸」です。こちらは、市販の内服薬に含まれていることもあり、コマーシャルなどでも見聞きしたことのある方が多い成分ではないでしょうか。このトラネキサム酸がどのように肝斑に効くかというと、肝斑は前述のように女性ホルモンのバランスが崩れ、お肌にあるメラニン色素を活発に作らせてしまうことによって発生すると考えられています。

より細かく言うと、この女性ホルモンの分泌のアンバランスによって、「プラスミン」という物質が作られて、このプラスミンが情報を伝達してメラニンの生成を引き起こすとされているのです。トラネキサム酸は、このプラスミンが強く働かないように抑制する作用があります。また、トラネキサム酸は、全身のアレルギーや炎症を抑える作用があるとされ、こういった目的でも広く医療用に用いられています。止血剤などとして、外科的な処置を受けた際に処方された経験がある患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

加えて、こちらも内服・外用剤どちらも共通で用いられることのある「ビタミンC」これは、本当に美白成分として名前が浸透していると思います。メラニンの生成を抑える働きは非常に有名ですが、お肌を構成する重要な成分であるコラーゲンやヒアルロン酸を作り出すのにも深く関わっています。
それから、「L－システイン」という成分も忘れてはいけない成分です。これは、もうすでに作られてしまったメラニン色素を、お肌のターンオーバーを促すことによって身体の外に排出しようという働きを助けてくれる物質です。また、こちらもコラーゲンの生成にかかわって、お肌をプルプルにしてくれる効果も期待できます。

ほかに外用薬の成分として使われる物質は？

上記に挙げた３つは、副作用の心配も比較的少なくごく一般的に用いられているものですが、もう少し短時間で、攻めのケアをしたい、といった場合に用いられることがあるのが「ハイドロキノン」という物質です、お肌の漂白作用が強く、肝斑のみならずシミの多くを美白してくれる効果があります。また、レチノイン酸と呼ばれるビタミンAの代謝物質も、ハイドロキノンと合わせて用いられたりすることがあります。

まとめ

肝斑は女性ホルモンの変化の影響などを受けることから、ほかのシミとは少し異なり治療が難しい部分があります。また、範囲が広範囲にわたることもあって、ほかの種類のシミと重なっていたりして専門的な対応が必要になる場合もあります。一般的なシミ取りレーザーでは却って肝斑を刺激して濃くしてしまうことがあるなど、取り扱いの難しいシミともいえますし、自己流の治療で消えにくいシミでもありますから、早期に皮膚科専門医の診断を受けて合った治療を開始することが、美肌への近道といえるでしょう。

この記事の監修医師

院長

オラクル美容皮膚科 院長 古市 雅子

経歴

2004年3月　東海大学 医学部 卒業
2006年3月　東海大学医学部附属病院 臨床研修 終了
2006年4月　東海大学医学部附属病院 麻酔科医勤務（標榜医取得）
その後、美容皮膚科にて院長などを歴任
2017年4月　オラクル美容皮膚科 東京新宿院 院長を務める

所属学会

日本抗加齢医学会
日本美容皮膚科学会

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